八宮(やみや)神社は旧小川村の総鎮守で、「天忍日命(オシホミミノミコト)」など8柱を祭神としていることからこの名前があります。創建は不明ですが、江戸時代後期の書物に「元和三年(1617)再建の棟札あり」とあることから、それ以前と思われます。かつては日赤病院のある尾根の西側スウツ山にありましたが、享保2年(1717)頃にこの地に移転したと伝えられています。
社殿は本殿と拝殿を幣殿でつないだ複合社殿(権現造)で、棟札から本殿は天保4年(1833)の建築とわかります。大棟梁は妻沼の林兵庫正尊、彫刻棟梁は上州花輪の石原常八主信(もとのぶ)で、国宝の妻沼歓喜院聖天堂の造営にかかわった林氏・石原氏の系譜を引く見事な彫刻が施されています。埼玉県内で特徴的にみられる江戸時代中期から幕末にかけての精巧な彫刻をもつ寺社建築の中でも、年代の特定できる好例として、県の有形文化財に指定されています。
境内にある青麻三光宮(あおそさんこうぐう)本殿も、小規模ながら天保13年に林兵庫正尊を棟梁として建立されたもので、合わせて県指定文化財になっています。