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穴八幡古墳の発掘調査

[2023年3月31日]

ID:5836

穴八幡古墳とは

穴八幡古墳は、古墳時代の終末期にあたる7世紀後半に造られた古墳です。小川町駅の西方に東西にのびる台地(八幡台)の頂部からやや南に傾斜したところに位置しています。2段築造の四角い形をした方墳で二重の周溝を持ち、規模は一辺が約28.2m、高さ5.6mになります。穴八幡古墳は、完備した横穴式石室をもつ古墳として、1959(昭和34)年に埼玉県の指定史跡となりました。その後、1970(昭和45)年から1997(平成9)年にかけて測量調査や試掘調査、発掘調査を行っています。 

調査の概要

測量調査以前には、穴八幡古墳は直径30m、高さ4mの円墳と考えられていました。しかし、1965(昭和45)年の東洋大学考古学研究会有志が実施した横穴式石室の実測調査と1987(昭和62)年に横穴式石室の再実測調査及び墳丘の測量調査を実施した結果、方墳の可能性が高まりました。

1988(昭和63)年3月に北側外周溝・内周溝の試掘調査を実施しました。墳丘北側隣接地の宅地造成に伴い町教育委員会が周溝の有無を確認するために調査を行い、二重の周溝をもつ方墳である可能性が確認されました。

同年5月に記録保存のために北側外周溝の発掘調査を行いました。同年6月に墳丘北側において確認された二重周溝の確実性とひろがりを確認するために試掘調査を実施しました。同年12月に外周溝の規模を確認するために、北側外周溝コーナーを試掘調査しました。その結果、外周溝北辺の一辺の長さが61.4mと判明しました。

1989(平成元)年に古墳の時期の解明と前庭部の構造の把握のために横穴式石室内部と前庭部を発掘調査、1990(平成2)年に平成元年に確認された前庭部南側の列石と落ち込み、墳丘端部の把握のために前庭部と墳丘部の発掘調査をしました。前庭部の調査で内周溝の端が西側で途切れることが判明しました。

1993(平成5)年に前庭部の列石確認と墳丘規模の把握のために、前庭部の継続調査と墳丘調査を実施しました。前庭部の調査では、列石の下に内周溝の立ち上がりが潜り込んでしまうことから、後世の改変であることが判明しました。墳丘の調査では、北西・北東の各コーナーが確認され、墳丘北の規模が28.2mと判明しました。そして1997(平成9)年に墳丘西側・北側周溝の発掘調査を実施しました。

今回は当時の発掘調査の成果を写真でご紹介したいと思います。

ここに掲載する写真は、文化財デジタルアーカイブ構築事業の一環として教育委員会所蔵資料をデジタル化した写真の一部で、当時の様子などが窺える貴重な資料です。

穴八幡古墳位置図
 『小川町の歴史資料編1 考古』より。

穴八幡古墳全測図
 『小川町の歴史資料編1 考古』より。

1次調査前(南側から)

1次調査前(南東側から)

草木が生い茂っている。当時は道路からの階段は西側のみで、古墳の前方には鳥居が設置されていた。

調査開始(外側周溝の検出)

検出された外側周溝

1次調査開始。北側に四角く溝を掘り、周溝の範囲を確認。黒く見える土の部分が周溝。

外周溝と遺物(東側から(1))

外周溝と遺物(東側から(2))

外周溝と遺物(北側から)

黒い土を掘り下げていく過程で土器が出土。出土した位置と高さを記録するためにすぐに遺物を取り上げずに土を柱状にしてその場に残しておく。

外周溝の完掘状況
遺物の出土位置の記録後、遺物を取り上げて土柱を壊して完掘する。

 埋め戻し作業の様子
 調査が終了し、重機で埋め戻しをしている様子。

2次調査前
石室入り口の様子。当時は入り口のすぐ脇に解説板が設置されていた。(平成元年)

調査前の石室内部
床面には礫が敷かれ、奥には祠が置いてある。

礫除去後の石室床面
調査に向けて礫と祠を除いた状況。

石室前室の調査

石室羨道部前版築状況

石室内の前室・羨道部を掘り下げた状況。黄褐色土と黒色土を交互につき固めて地業した版築が行われている。

前庭部(南側から)

石室入り口前

前庭部(北側から)

前庭部列石確認調査(北東側から)

前庭部列石確認調査(南側から)

大量の礫と列石が確認された。大量の礫は墳丘に貼り付けた葺石と思われたが、江戸時代の遺物と伴に出土することから、古墳時代に並べられたものではないと考えられる。

3次調査前庭部掘り下げ

内周溝(南側から)

内周溝(西側から)

内周溝(東側から)

前庭部掘り下げにより内周溝が検出された。内周溝は墳丘を一周せずに、石室入り口前で途切れ、ブリッジ状の空間をつくる。

墳丘部東側調査(墳丘側から)

墳丘部東側調査(周溝側から)

墳丘東側の内周溝を確認。白い線から先の黄色い土は内周溝と外周溝の中間にあたる中提部分。

墳丘部西側調査(墳丘側から)
内周溝と中提、外周溝を確認

墳丘部西側調査(周溝側から)

4次調査墳丘裾部(北東側)

墳丘裾部(北西側)

古墳の形を確認するために、墳丘北東・北西側裾部を調査し、角を検出。穴八幡古墳が方墳であるとわかる。

墳丘北側調査(墳丘側から)

墳丘北側調査(周溝側から)

墳丘北側の内周溝を確認。白い線から先の黄色い土は内周溝と外周溝の中間にあたる中提部分。

5次調査作業風景

外周溝発掘作業の様子(1)

外周溝発掘作業の様子(2)

内周溝と外周溝の調査。周溝の土の重なりを確認するために周溝内部すべてを掘削せずに、ベルト状に残しその土層を実測している。

墳丘西側の内外周溝

墳丘西側内周溝(1)

墳丘西側外周溝(2)
周溝を完掘した様子。

墳丘北西部側調査

墳丘部の断面

墳丘部の調査
墳丘に段を確認。2段築造であることがわかる。

5次調査航空写真(1)

5次調査航空写真(2)

現在の穴八幡古墳

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