小川町の市街地の西側に、東西に長く延びる八幡台と呼ばれる台地があります。その東端部に埼玉県旧跡「仙覚律師遺跡」があります。
文永6年(1269)に僧仙覚が「万葉集註釈」を完成させた比企郡北方麻師宇郷は、小川町大字増尾周辺に比定されています。仙覚は、建仁3(1203)年に常陸国(現在の茨城県)に生まれたと考えられている天台宗の僧侶で、読み方のわからなくなっていた152首を読めるようにしました。この偉業を顕彰して、昭和3年4月、国文学者・歌人の佐々木信綱の撰文、岡山高蔭の書によりここに石碑が建てられています。
ちなみに、この地は室町時代後半の15世紀後半に築造された中城の跡で、周囲に土塁と深い堀が残っており、町の史跡に指定されています。